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遺言信託の功罪…

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writer : admin

遺言信託の功罪…

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こんにちは。大田区の相続大好き税理士です!

今日は気持ちのいい朝ですね!

ところで皆さんは信託銀行とお取引はありますでしょうか?

普通の生活をしているとなかなか接点がないのではないかと思いますが、その割には町中に看板をよく見かけますよね?

実は日本の主要な(≒優良)不動産(≒ビル)は名義上信託銀行になっているケースが極めて多く、B to Bの金融界ではなかなかの存在感を持っております。

そんな信託銀行が、めずらしく個人を相手として提供するサービスが遺言信託です。(不動産信託とセットになっているケースも多いです。)

話はすこし信託から逸れますが、遺言書にはいくつかの形式があります。

メジャーなのは「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」ですね。

そして、遺言書を遺す目的は、遺言者が財産を法定相続割合とは異なる分け方で相続人に引き渡したいという意思を実現するためであることが多いです。

「長生きしろよ」とか「墓参りを欠かすな」とか「母さんを大事にしろ」とかいう ”いかりや長介” 的な遺言書もよく見かけますが、それはそれでお人柄が出ていてほほえましい。。。

さて、問題は、遺言者が亡くなった後の話です。

当然ながら遺言書が効力を発揮するのは遺言者が亡くなった後ですよね?

でも、いつまでボーっと待ってても、遺言書に書かれたとおりに遺産が相続人のところに転がり込んでくることはたぶんありません。

それでは、遺言書に書かれた内容(=法定相続割合とは異なる配分)を実際に実現してくれるのはいったい誰でしょうか?

親戚のおじさん? 市役所の人? ケアマネージャー?

No、No、No

 「遺言執行者」 です!

ん?誰ですかそれ?

はい。そんな名前の人はいません。遺言者が遺言書の中で指名した人のことをこのように呼びます。

具体的には、遺言書の中に「〇✖を遺言執行者として必要な手続きの一切を行う権限を与える。」という趣旨の条項が含まれています。(なので「親戚のおじさん」の可能性はありますw)

公正証書遺言でも自筆証書遺言でも、遺言執行者として相続人の一人や相続人ではない親族を立てるケースが多いのですが、実はこれ、しばしば争いのモトになったり、争いに巻き込まる原因になったりします。

また、遺言執行者とされた方が、遺産の把握・確定・移管(+相続税の申告)という聞いただけでも面倒くさそうな手続きを、ギラギラした相続人を抑え込みながら遂行しきるだけの能力と気力がある方であればまだ実効性があるのですが、一般の方がこれに耐えうるかといえば、必ずしもそうではありません。

そんなわけで、こうした事情を知っている人は遺言執行者になることを嫌がったりします。

そこで”遺言信託”の出番です。

信託銀行が、”遺言書”を受託し”遺言執行者”になってくれるサービスです。

(当然、信託報酬はガッポリ取られます)

いざ遺言者が亡くなると、信託銀行が起動します。

相続人に連絡を取り、遺産を検索・確定させ、戸籍謄本を集め、残高証明書の発行手続きを行い、相続登記を行い、銀行口座の解約・移管手続きを行い、税理士をアテンドすることまで一手に仕切ります。

そう、まさに仕切るのです!

もちろん、100%遺言書の内容どおりに!

信託”銀行”ですので、とにかくやることはキッチリしています。

一分の隙も見せない機械のごとき精度で手続きをゴリゴリ進めます。

ダイヤモンドをタングステンでコーティングしたくらいガチガチの彼らは、相続人のささやかなご希望などは意に介さず何事も遺言書のままに進めてくださいます。

これはある意味で非常に優秀な遺言執行者といえると思います。

しかし後に控えている税理士からすると、非常~に遅~い、です。

ご存じの通り、相続税の申告期限は10か月です。

赤子が泣こうが地頭がわめこうが、10か月以内に申告しなければなりません。

しかし、信託銀行ががっちりスリーパーホールドで手放さない資料が税理士の手元に(しかもコピーで)回ってくるのは、だいたい期限の3か月ほど前です。理由は、その前に信託銀行がいろいろな手続きを実行することを優先させるからです。

不動産が全国各地に分かれていて数も多い場合には相続登記に時間が掛かるので、税理士の出番がもっと遅くなる可能性もあります。

オイオイ、不動産の数が多いと税理士も時間が掛かるんですけど!

しかも、信託銀行にとって必要な資料と、税理士にとって必要な資料には微妙にズレがあり、信託銀行から資料がやっと開示された後で「アレ?△△がない?」ということになり慌てて取得に走る、ということもあります。

私が対応していてとっても歯がゆかったのは、とにかく融通が利かないことです。

どうせコピーしかくれないならば先にくれてもよさそうなものじゃないですか。しかしタングステンダイヤモンドな彼らは1ミリもぶれません。

「相続人様に確認してから」

「こちらの手続きが完了してから」

出ました!信託2大エクスキューズ!

ダイヤモンドは傷つかない!(by 田中美佐子)

何とも杓子定規な対応で辟易した記憶があります。

信託銀行の遺言信託サービスには、遺言者、相続人にとって、遺言執行手続きを粗漏無く進めてくれる安定感の点で、今後もニーズがあるんだろうと思いますが、もう少し関係者のニーズにも柔軟に対応していただけると大変ありがたいと思います。

なお、遺言書を「預かる」という機能を重視される方には、最近法務局で始まった「自筆証書遺言保管制度」や、昔ながらの「公正証書遺言」というサービスもおすすめです。

ただ、やっぱりポイントは「遺言執行者」ですね。

なお、弁護士、司法書士、税理士なども遺言執行者になることは可能であり、仕事として引き受けていらっしゃる方もおられますが、うちの事務所ではお断りさせていただいております。

理由は、2回のトミージョン手術に加えて、老眼、五十肩、突き指、うっすらとした頭痛など、体中ガタがきているわたしは遺言者様よりも長生きする自信がないからです!

専門家に遺言執行者をお願いしようとお考えの方は、その専門家の余命とその事務所の持続可能性を慎重にご検討されるとよいと思います。

本日は、信託銀行の遺言信託サービスがいかにすばらしい(嫌い)か、というお話でした。

それでは、そろそろランチのお時間ですので失礼します。

ではまた!

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